Research

RESEARCH & HISTORY · SWEL Lab, YAMAGATA UNIVERSITY

ゲルの科学から、
未来の食とくらしへ。

水を含むやわらかい材料を理解し、思い描いたかたちにし、社会で使えるものへ育てる。SWELラボの研究は、ゲルの構造解析と3D造形を出発点に、医療、ソフトロボティクス、食、そして宇宙へと広がってきました。

このページでは、研究室の歩みと、研究テーマがどのようにつながり、発展してきたかを紹介します。

主な沿革 | ゲルの解析と造形 | 共創への展開 | 食から宇宙へ | 記録・資料 | English

研究をつなぐ考え方

やわらかい材料には、硬い材料とは異なる構造や動き、触感があります。その性質を測り、設計し、3Dプリンターでかたちにすることが、SWELラボのものづくりの基盤です。

さらに、設計をデジタルデータとして共有し、離れた場所で材料から再構成する「物質通信」を展望しています。材料の科学と情報技術をつなぐことで、必要なものを必要な場所でつくる未来を探究します。


主な沿革

時期主な歩み
2009年4月古川英光が山形大学に着任し、ソフト&ウェットマター工学研究室(SWEL)を設立。ゲルの構造解析と3Dゲルプリンターの研究を推進。
2012年古川が教授に昇任。ゲル材料の造形研究から、食品素材を扱う3Dフードプリンターの研究へ展開。
2013年6月ライフ・3Dプリンタ創成センター(LPIC)を発足。やわらかい材料とデジタル製造の研究基盤を拡充。
2013年度〜2021年度COI-T/COIに参画。2013年からの試行を経て、2015年から本格採択された「ファブ地球社会創造拠点」で、感性とデジタル製造を結ぶ研究を推進。
2014年以降医療用ゲルモデル、高強度ゲル、食品・生体材料、ソフトロボティクスへと応用研究を拡大。
2016年11月ゲル材料のデバイス利用を目指す山形大学発ベンチャー、株式会社ディライトマターを設立。研究成果の事業化への展開が進む。
2018年4月6日やわらか3D共創コンソーシアムを設立。食品・医療・ゲル・モビリティ・ロボティクスをつなぐ産学官共創を開始。
2020年代日本科学未来館などで、やわらかものづくりの研究と社会との対話を展開。3D/4Dプリンティング、食感設計、長期保存、デジタル食体験の研究を推進。
2023年度ムーンショット型農林水産研究開発事業、SIP第3期、NEDO先導研究による取り組みを展開。食品保存、食体験、異種柔軟材料のものづくりを研究。
2024年6月山形大学発ベンチャー、株式会社F-EATを設立。3Dフードプリンティングを中心に、食の社会実装に向けた取り組みが広がる。
2025年度科研費 基盤研究(A)による自律型4Dソフトロボの研究を開始。
2026年度STAR-MEALSと日本科学未来館「宇宙調理×食体験」の取り組みを展開。SIP3のGASTROVERSEとともに、未来の食をめぐる研究と国際交流を推進。

研究室の主な節目をまとめています。各事業の正式なテーマ・実施期間は、研究プロジェクト紹介をご覧ください。


01|ゲルを理解し、かたちにする

内部構造を調べることから

ゲルは、水を多く含みながら形を保つ材料です。内部の網目構造や不均一性を調べることは、やわらかさや強さ、機能を理解する手がかりになります。

古川らは、走査型顕微光散乱(SMILS)を用いた構造解析を研究してきました。SWELラボでは、NEDOの「超微量ゲル試料の構造解析システムの開発」などを通じて、少量のゲル試料を評価する技術に取り組みました。材料を「測る」研究は、新しい材料を「つくる」研究を支える基盤となっています。

3Dゲルプリンティングから4Dへ

2009年に始めた3Dゲルプリンターの開発では、水を含むやわらかい材料を、デジタル設計に基づいて造形することに挑戦しました。材料の組成だけでなく、造形方法や形状を設計することで、医療用モデルや食品、やわらかい機械への応用が広がってきました。

その先には、時間や刺激によって形状・性質が変わる4Dプリンティングがあります。材料の応答性を活かし、動きや機能を持つ構造体とソフトロボティクスの研究へつなげています。

山形大学の研究紹介:高強度ゲルと3Dゲルプリンター


02|デジタル製造を、共創の場へ

LPICとCOIで広がった研究

2013年に発足したLPICは、3Dプリンティングとやわらかい材料の研究を進める拠点となりました。同時期に始まったCOI-T、そして2015年からのCOIでは、生活者の感性や創造性とデジタル製造を結ぶ「ファブ地球社会」の実現に向けて、他大学・企業との連携を深めました。

材料や装置の開発に、人がどう使い、何をつくりたいと感じるかという視点が加わりました。研究室での試作から、利用する人や企業とともに考えるものづくりへ。この経験が、共創活動の基盤になっています。

ファブ地球社会創造拠点の公式記録

やわらか3D共創コンソーシアム

2018年4月6日、山形大学を中心に、やわらか3D共創コンソーシアムが発足しました。食品、医療、ゲル、モビリティ、ロボティクスの5分野をつなぎ、研究者と企業、行政などがアイデアから実用化までを共に考える場です。

設立時に掲げた「新規革新的材料の実用化を30年から3ヶ月へ」は、実用化の速度を大きく変えようとする目標です。材料、設計、製造、利用の現場を結びつけることで、新しい価値を生み出すことを目指しています。

やわらか3D共創コンソーシアム | 山形大学による設立報告

研究成果を社会へ届けるために

2016年のディライトマター、2024年のF-EATの設立は、ゲル材料や3Dフードプリンティングの成果を事業へつなぐ展開です。研究、教育、産学連携と並行して、技術が実際の製品やサービスとして使われるための可能性を探ってきました。


03|やわらかい材料の研究から、食の未来へ

ゲル造形の知見を、食品へ

食品には、ゲルやペーストなど、やわらかい材料としての性質を持つものが数多くあります。SWELラボでは、ゲルを造形する研究を食品へと広げ、2012年から3Dフードプリンターの開発に取り組んできました。

食品を扱うには、かたちだけでなく、食感、温度、材料の流れやすさなどを考える必要があります。試作と評価を重ね、食べる人にとっての価値を含めた設計へと研究を発展させてきました。

保存する・設計する・味わう

現在の研究では、食品を長く保存する技術、食感を解析して設計する技術、3D/4Dプリンティングで再構成する技術、食べる体験を豊かにする技術が、それぞれのプロジェクトで展開しています。

ムーンショット研究では、低温凍結粉砕による含水ゲル粉末を用いた食品の長期保存を研究しています。SIP3では、食感解析AIと3Dフードプリンティングによる介護食研究を起点に、GASTROVERSE(美食超空間)としてデジタルと現実の食体験をつなぐ可能性を探っています。

STAR-MEALSでは、宇宙でおいしく豊かに暮らすための技術開発を進めています。日本科学未来館での取り組みや国際交流も通じて、食をめぐる科学・技術・文化の接点を広げています。

各プロジェクトの概要・実施期間・関連リンクを見る


記録と資料から、さらに詳しく

研究室のウェブサイトの歩み

2013年2月18日に開設したSWEL Wiki、大学内の旧研究室サイト、そして現在のswel.jpへ。研究の進展とともに、活動を記録し、伝える場も移り変わってきました。

SWEL Wiki アーカイブ(2013–2014年)
SWEL 旧大学サイト アーカイブ(2016–2022年)
2022年10月31日「新規作成開始!」のお知らせ

2023年4月には現在のWordPressサイトを開設し、研究紹介や活動記録の発信を続けています。

研究業績・公開資料

山形大学研究者情報:古川英光
走査型顕微光散乱による高分子ゲルの微細網目構造のキャラクタリゼーション(2002年)
ディライトマター設立に関する山形大学の発表(2016年)
山形大学工学部の公開資料(2025年5月・F-EAT関連、PDF)
日本科学未来館「知的やわらかものづくり革命」


Our research journey

Since its establishment at Yamagata University in 2009, SWEL Lab has connected the science of soft and wet materials with digital fabrication. Research on gel structures and 3D gel printing has expanded into medical models, soft robotics and food printing.

Through LPIC, the COI program and the Soft 3D Co-creation Consortium, our work has grown through collaboration across disciplines and industries. Today, our research explores food preservation, personalized textures, immersive dining and space gastronomy, while continuing to develop soft materials and 3D/4D manufacturing technologies.

About SWEL Lab in English | Researcher profile in English