当研究室(SWEL)の学生である青木凰介さんが、古川英光教授の著書『身近なやわらか物質の謎に迫る! 中学生からわかる現代ソフトマター学 (科学の扉)』の書評を書いてくれました。身近な「やわらか物質」の魅力に触れ、研究への探究心が刺激される素晴らしい内容となっていますので、ぜひご覧ください。
『身近なやわらか物質の謎に迫る!』を読んで 執筆:青木凰介
皆さんは、「やわらか物質」と聞いて何を思い浮かべるだろうか。ゴムはもちろん、プリンやチョコレートのような食品も「やわらか物質」に含まれ、実は私たちの身の回りに広く存在している。本書では、そんな「やわらか物質=ソフトマター」について、基本的なメカニズムから最新の研究動向、さらには今後期待される技術までが幅広く解説されている。身近な物質や現象を具体例として挙げることで、イメージが持ちにくい物質の仕組みや研究内容を直感的に理解できるよう工夫されている点が特徴的である。また、著者自身の経験談も随所に盛り込まれており、全体としてユーモアを交えつつ読み進められる構成となっている。
本書は全5章で構成されており、「やわらか物質」に関する基礎から発展的な内容までが段階的に紹介されている。まず第1章では、「やわらか物質」のメカニズムについて身近な例を交えながら解き明かしている。次に第2章では、「やわらか物質」の中でも代表的な物質である「ゲル」が取り上げられており、その定義や性質、利用例がより専門的に説明されている。そして第3章では、そんな「ゲル」について日本でどのような研究が行われてきたのかを原理なども含めて紹介している。また第4章では、天然の「やわらか物質」について、その性質やメカニズムが説明されている。さらに第5章では、フードプリンターやソフトロボットといった近未来技術の現状や今後への期待が述べられている。
本書の特徴は、身近な物質や現象を用いた具体例と著者自身の経験談が随所に盛り込まれていることである。専門的な内容が直感的に理解しやすい点が優れており、メカニズムの解説では、わかめやアメといったなじみのある食品が例として用いられており、原理のイメージが非常に持ちやすかった。科学に対して「難しそう」や「つまらなそう」といった印象を持つ人でも、本書を読めば、「科学って意外と面白いな」と感じるだろう。
本書を読む前、私は「やわらか物質」について何も疑問を持ったことはなかった。「『やわらか物質』なのだからやわらかくて当たり前」、そんな考え方だった私が本書を読み終える頃には、「なぜやわらかいのだろうか」「どのようにすればより強度を高め、より伸びる物質にできるのか」といった問いを抱くようになり、その魅力に引き込まれていった。本書に出会ったのは偶然かもしれないが、この出会いを通して私の探究心には間違いなく火がついた。この関心を大切にし、今後も未知への探究を続けていきたい。
【書籍情報】
- タイトル: 身近なやわらか物質の謎に迫る! 中学生からわかる現代ソフトマター学 (科学の扉)
- 著者: 古川 英光
- 出版社: 技術評論社
- 発売日: 2025年11月12日
- 単行本(ソフトカバー)/ 320ページ
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