NEDO事業に採択 4Dプリンター研究開発を加速

【概要】

山形大学がNEDO事業の「NEDO先導研究プログラム/マテリアル・バイオ革新技術先導研究プログラム」に初めて採択されました。この採択をきっかけに、マテリアル分野・4Dプリンターの研究を産学連携体制で加速させ、新たな産業の創出を目指します。

最終的には、多くの材料研究者や機械工学研究者が利活用可能なソフト材料の3D/4Dプリンティングを推進できるプラットフォームを整備することを目指しています。

本事業は、新産業創出を目指し、中長期的な課題解決に取り組むものです。革新的なマテリアル・バイオ分野の技術シーズの発掘・育成を通じて、マテリアルおよびバイオ・イノベーションを加速し、将来の国家プロジェクトにつなげることを目的としています。

採択された研究開発のテーマは「革新的異種柔軟材料3D/4Dものづくり基盤の構築」であり、山形大学、九州大学、立命館大学、サンアロー株式会社、株式会社LIGHTzが参画しています。実施期間は2023年4月1日から2024年3月31日までで、総事業費は1億円です。
 ※本件は、令和5年(2023年)5月18日開催の 工学部長記者懇談会 にてプレスリリースいたしました。

★採択された研究開発について

【研究開発テーマ】革新的異種柔軟材料3D/4Dものづくり基盤の構築

【参画機関】山形大学、九州大学、立命館大学、サンアロー株式会社、株式会社LIGHTz

【実施期間】2023年4月1日~2024年3月31日

【体制・規模】・産学連携体制 事業費総額1億円

【研究開発の背景や目的】 マテリアル分野では4Dプリンティングやソフトロボティクスの研究が国際的に急伸しているものの、その前提となる3Dプリンティングにおいては、異種材料への対応が遅れており、多くの材料研究者や機械工学研究者が活用することができていないという課題があります。本研究開発は、3Dプリンターを活用したデジタルものづくり(デジタルファブリケーション)における、より柔軟で高次の機能(適応性や知能)が融合した4Dプリント材料の吐出条件を学習することで、材料ベースの最適設計を導き出すことを目的としています。

【具体的な研究開発課題】

次の3つの研究課題に取り組みます。

①直交反応4Dインクの開発: 複数の異なる化学反応が互いに影響を及ぼさずに別々に進むことを直交(orthogonal)反応といいます。AI技術を活用し、世界で初めて、直交反応を4Dプリンティングに革命を起こすマルチマテリアル用インクの開発につなげます。

②キメラ4Dプリンターの開発: 山形大学が誇る世界初の3Dゲルプリンターは、様々な造形方式が開発されつつあります。これを徹底的に活用するために多様な3Dゲルプリンターからどれを選べばいいかを選択する技術が必要になっています。また、同時に全方式が入った、世界でも全く例が無い、多方式融合型4Dプリンティングシステム(キメラ4Dプリンター)の開発に挑戦します。

③4Dシミュレーターの開発: 4Dプリンティングには、最終的な造形物から逆算して3Dプリンティングを考える必要があります。この問題を解決するために「4Dプリンティング逆問題」への取り掛かり方、着手の仕方を世界に初めて示していく必要があります。具体的にはそれを可能にする計算ソフトウェア(4Dシミュレーター)の開発に挑戦します。

【展望】

NEDO事業としての実施期間は2024年3月31日でひと区切りとなるものの、NEDOによる審査等を経て2024年4月以降も研究継続体制を得ることを目標としています。3Dプリンティングではマルチマテリアル対応への対応が、概念的で稚拙なレベルや、実験室でのアクロバット的な手法での成果ばかりで、多くの材料研究者や機械工学研究者が利活用可能にはなっていません。日本としてはそのような状況を打開し、世界とは数段上の、格段に高いレベルでの、ソフト材料の3D/4Dプリンティングを推進できるプラットフォームを整備すします。それにより、一気に国際競争のトップに踊り出て、やわらか3D/4Dのものづくりにおいて、豊かで持続性のある未来社会の実現に、国際的に貢献するプラットフォーマーとしての地位を確立していきたいと考えています。